『芒種』(ぼうしゅ) 次候、腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)

『芒種』(ぼうしゅ) 次候、腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)

みなさま、少し暑くなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

今日から、七十二候は、芒種の次候、腐草蛍と為る (くされたるくさほたるとなる)となります。蛍が灯りを灯し、飛び交う頃をいいます。

昔の人々は、農作業後の腐ってしまった草や竹が、蛍に生まれ変わると信じたそうです。

蛍といえば、綺麗な水辺に住む、源氏蛍や平家蛍を思い浮かべるかもしれませんが、日本には40種類以上の蛍がいます。

羨ましいことにその半数になる20種類の蛍が沖縄におり、島ではなんと一年を通して蛍に逢えるとのこと。
雨上がりの夜に、ガジュマルの林に舞う、蛍の光はより一層神秘的と謂れております。

今日は、この蛍の「光」にまつわる日本の伝統色をご紹介させていただきます。

夜の闇の中、やさしい黄色の光を明滅させて飛ぶ蛍の姿は、大変幻想的で、まさに幽玄そのもの…。
そのようなあざやかで神秘的な黄色を「籐黄(トウオウ)」と呼ぶそうです。

元は、中国の伝統的な顔料で、東南アジアが原産の「オトギリソウ」からつくられ、大変鮮やかな黄色から、日本でも友禅染めや日本画にて多数使用されてきました。

蛍がふわっとあかりを灯し、飛び交う風景に、今も昔も心がときめきます。

みなさま、蛍の光を目にされたことがありますでしょうか。
特に清流のほとりでは、蛍の乱舞がこの時期からはじまります。

蛍

古くから人々の心をとらえてきた蛍の黄色の光は、本来は、オスがメスに呼びかけた際に、メスがオスに応える「恋」の交信です。

しかし、かつての人々は、この籐黄色の光を、「死者の霊魂」や「心残り」だと考えていました。

その背景には、ゲンジボタルの「ゲンジ」、「源氏」は源平合戦で亡くなった武将、源頼政に由来するともいわれております。

そして、ゲンジボタルの寿命は2週間ほど…。エサは食べず、お水を飲むだけなんです。
「こっちの水は甘いぞ。。」とホタルを誘っているのですね。

今年は様々な想いを込めて、ホタルに出会う機会を、探してみてもいいかもしれませんね。


芒種

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