のレン 情景手ぬぐいの染工場を見学してきました。

のレン 情景手ぬぐいの染工場を見学してきました。

のレン の情景手ぬぐいを染めてくださっている京都の染工場へ訪問してきました。
染工場のある京都市右京区は他にも染め屋さんがたくさんあります。
この辺りは良質な地下水が湧くことから古くから染色が盛んだったそうです。
豊かな大地の恵みが産業や文化を育んできたという歴史を感じられます。

桂川から嵐山を望む

写真は桂川から嵐山を望む景色。
資源だけでなく景観も豊かな土地です。

京友禅の技術を継承した「手捺染」


手捺染で手ぬぐいを染める

のレン の手ぬぐいは「捺染(なっせん)」という京友禅に代表される伝統的な染色方法で染められています。
機械で色を重ねる「オートスクリーン捺染」という技法もありますが、のレンでは「手捺染(てなっせん)」という職人による手仕事で染めていただいています。
手仕事のため大量生産は出来ませんが、熟練の職人技によって複雑な絵柄を染め上げていただいています。

注染手ぬぐいとの違い

手捺染ならではの精巧な柄表現

「捺染」と同様に伝統的な本染めの染色技法として、「注染(ちゅうせん)」があります。手ぬぐいといえば注染手ぬぐいをイメージされる方も多いかもしれませんね。

「注染」とは、染めない部分を防染のため糊で土手をつくり、染める箇所にじょうろのような道具で染料を注いで染めることから名づけられました。
板場で生地を伸ばして一枚一枚染める捺染とは違い、注染は生地を重ねて一気に染め上げます。そのため手ぬぐいは裏表がわからないほど均一に染まるのが特徴です。
染料も異なるため、「にじみ」や「ぼかし」といった風合いは注染ならではです。
一方で土手をつくらなければならないため、細い線や細かい絵柄の表現や多色をつかう絵柄には向いていません。色が退色しやすいという特徴もあります。

捺染は細かい絵柄でも表現しやすく、版の数だけ色を重ねることができます。
注染に比べて鮮やかな色を保ち続けることができるのが特徴です。

繊細さと温もりを両立した浸透染

のレンの手ぬぐいは捺染の中でも「浸透染め」という特殊な技法で染められています。
捺染の場合、摺り付けて染めるという方法と糊を混ぜた染料を使うという特性から、表はしっかり染まりますが裏まで均一には染まりません。
浸透染めは、染料が生地にゆっくりと浸透する間をつくることで裏まで染めることができます。生地にしっかり浸透させることで色に奥行きがでて深みのある味わいとなります。

捺染の特徴である繊細な絵柄の表現、鮮やかな発色に加え、注染のような温もり・深みのある染めを実現しています。

捺染の常識を覆すグラデーション表現

更に のレンの情景手ぬぐいは、季節の移ろいや余韻を表現するためグラデーションを図案に取り入れています。
一般的に捺染はグラデーションを再現するのが難しいと言われていますが、型紙のメッシュ部分の絞り具合で染料の量を調整し、熟練の職人技でグラデーション表現を実現しています。

手捺染では珍しいグラデーション染め

こちらも従来の捺染手ぬぐいではあまり見られない挑戦的な技法となります。
実現いただいた職人の皆様には本当に頭が下がります。

少し長くなりましたので、今回はここまで。
次は動画も交えて工程を追っていきます。
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