こんにちは
羽田空港店スタッフ大場です。皆さんは、忘れられない旅の思い出が詰まった、宝物のような品を何かお持ちですか?
私の父の故郷は、宮城県の仙台近くで育ちました。歴史や工芸が好きな私にとって、伊達政宗ゆかりの地や美味しい牛タン、そして温泉と、魅力にあふれた場所です。
中でも今の私の心を掴んで離さないのが、東北の豊かな自然の中で生まれた「こけし」です。
正直に言うと、私も昔はあまりこけしに興味がありませんでした。でも、ある日のレン で出会ったこけしの、あまりにも愛らしい表情に心を奪われて以来、すっかりその魅力のとりこに……!
今回は、そんな想いを胸に、宮城に息づくこけしのルーツを巡る旅へ出てきました。
旅先で出会った、心あたたまる物語を、少しだけ皆さんにお届けします。

【こけしコラム】旅の前に知っておきたいその豊かな個性
一口に「こけし」と言っても、実は産地によって顔も形も全く違うことをご存知ですか?
伝統こけしは12の「系統」に分類され、それぞれが驚くほど豊かな個性を持っています。なかでも宮城県には、実に4つもの系統が存在することをご存じでしょうか?
【鳴子(なるこ)系】
肩が張ったしっかりした体に、菊の模様が華やか。首を回すと「キュッキュッ」と音が鳴るのが愛嬌です。
【遠刈田(とおがった)系】
すらりとした佇まい。赤い放射線状の髪飾りが特徴で、切れ長の目が少し大人びた印象です。
【作並(さくなみ)系】
胴が細く、カニのような菊模様が描かれます。素朴で可憐な雰囲気が魅力です。
【弥治郎(やじろう)系】
頭にカラフルなベレー帽をかぶったような、モダンなデザインが特徴的です。
この「みんな違って、みんないい」という多様性こそ、こけしの面白さ。NORENの店頭に並ぶ子たちも、ぜひ「この子は何系かな?」と見比べてみてくださいね。
旅のはじまりは、巨大こけしのお出迎え
東京駅から新幹線で約1時間半。杜の都・仙台に到着すると、駅からほど近い西公園で、なんと高さ7.4mもの巨大な「こけし塔」が私たちを迎えてくれます。昭和36年からこの地に立ち、訪れる人々を見守ってきた、まさに宮城のシンボル。ここから、私のこけしを巡る旅は始まりました。
東京駅から新幹線で約1時間半。杜の都・仙台に到着すると、駅からほど近い西公園で、なんと高さ7.4mもの巨大な「こけし塔」が私たちを迎えてくれます。昭和36年からこの地に立ち、訪れる人々を見守ってきた、まさに宮城のシンボル。ここから、私のこけしを巡る旅は始まりました。
職人の技と心に触れる、秋保(あきう)工芸の里へ

仙台から車で約20分。秋保温泉のほど近くにある「秋保工芸の里」には、こけしや木工、ガラスなど、様々な工房が集まっています。職人さんの手仕事を間近で見学したり、もの作りを体験したりできる、まさにテーマパークのような場所です。
現代と出会う、遊び心のこけしたち
「玩愚庵(がんぐあん)こけし屋」
まず訪れたのは、伝統の技法を大切にしながらも、どこか現代的で遊び心にあふれる作品に出会える「玩愚庵こけし屋」さん。親子二代の工人が手がける、思わず笑顔になってしまうような愛らしいこけしたちは、ギャラリーのように美しく展示され、訪れる人の心をときめかせます。
世界に一つの“マイこけし”が生まれる喜び
「佐藤こけし」での絵付け体験

ここでは、人生初のこけしの絵付けに挑戦!ずらりと並んだ、先輩たちが作った個性豊かなこけしを参考に、自分だけの一体を夢中で作りました。少し緊張しましたが、スタッフの方が優しく教えてくれるので、誰でも安心して楽しめます。自分で描いたこけしが完成した時の喜びは、本当に格別でした。
工人(こうじん)の言葉に宿る、こけしの魂
「吉助」我妻工人との出会い
今回の旅で、最も心に残っているのが、遠刈田系こけしの工人・我妻敏さんとの出会いです。工房に足を踏み入れると、木の香りと共に、丁寧に作られたこけしたちが静かに出迎えてくれました。
我妻工人は2代目で伝統こけし工人BOOKにも名を連ねる有名なこけし工人です。
「こけし作りの魅力は、とても奥が深いこと」

と、我妻さんは語ります。
例えば、同じ赤色でも工人によって顔料の調合が異なり、色合いが微妙に変わること。すべて手作業だから、顔の表情も一つひとつ違うこと。毎年少しずつ表情が変わるこけしを、楽しみに集めるファンもいること。
最近では、外国人観光客から「手足がないのは、宗教的な意味があるのか?」と尋ねられることも多いそうです。そんな時、我妻さんはこう伝えます。
「手に取って、何か感じるものがあれば是非連れて帰ってあげて下さい」
言葉や文化が違っても、じっとこけしを見つめ、その“感性”に何かを感じて、静かに購入していく方は少なくないと言います。「こけしは“感性”に訴えかけるもの。だからこそ、通じ合う人にはしっかり伝わるんです」という言葉が、胸に深く響きました。
見て、感じて、作ってみる。職人技を肌で知る時間
我妻工人がふと「やってみるか?」と声をかけてくださり、思いがけずペン立ての色付けを体験させていただくことになりました。
工房の中には、所狭しと道具が並び、それぞれが年季を感じさせます。
驚いたのは、高速で回転するろくろの上に筆をそっと置くだけで、吸い込まれるように美しい線が描かれていくこと。
「おぉ…!」と思わず声が出るほどで、まさに職人技の瞬間でした。
昔はミシンのように足踏みで回していたそうです。今では信じられませんね。
長年の手仕事が蓄積された空間に身を置きながら、職人の世界に少しだけ触れたような、そんな特別な時間でした。
楊枝立の絵付けも体験
【特別なお知らせ】あの旅の続きが、羽田のNORENに

この旅から数日後、奇跡のようなご縁が繋がりました。
なんと、今回ご紹介した我妻工人が、長年大切に収集されてきたビンテージのこけしを、特別に私たちの羽田空港店でお預かりさせていただけることになったのです!
遠くまで足を運ばずとも、日本の玄関口である羽田空港で、宮城の地に息づく本物の伝統に触れることができる、またとない機会です。
すべてが、職人の手仕事による世界に一つだけの存在。
そのあたたかな佇まいは、日々の暮らしに優しい彩りを添え、そっと心を癒してくれます。
旅のお守りに、大切な人への微笑みの贈り物に。
フライト前のひとときに、ぜひNOREN JAPANにお立ち寄りいただき、このぬくもりを感じてみてください。
あなたを待っている「運命の一本」との出会いが、きっと旅の素敵な思い出になるはずです。
羽田空港第3ターミナル・江戸小路内の「NOREN羽田空港店」にぜひお立ち寄りください。日本の魅力が詰まった、素敵なお土産がきっと見つかります。
営業時間
8:00-22:00 年中無休
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